原状回復の際、頼りになるのが国が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。このガイドラインを見ることによって原状回復の理解を深める事ができますが、このガイドラインはあくまで民間の賃貸住宅を対象にしたものです。そのため、テナントビルの原状回復は、このガイドラインとは少々内容が異なります。テナントビルを去る際には、十分にご注意ください。
それでは、具体的にどのような点が賃貸住宅の原状回復と異なるのでしょうか。
大きく異なる点の一つが、原状回復の負担です。賃貸住宅の場合、借主は自身の過失や故意、善管注意義務の違反によって生じた損耗の部分だけを負担するように定められています。しかしテナントビルの場合、特別な契約がなければ、通常仕様による損耗も含めて借主が負担しなければいけません。これは、テナントビルの使い方が業者によっても異なり、予想ができないことが理由となっています。ただし、マンションオフィスの場合は使い方が限定されるため、負担する範囲は賃貸住宅と同様と言われています。
また、賃貸住宅はお部屋の明け渡し後に原状回復するのに対し、テナントビルでは契約期間を終えるまでに原状回復まで終えなければならないという点も異なる点です。
ただしこれらは、契約内容によっても変化するため、一概に全ての賃貸住宅やテナントビルがこの例に当てはまるとは限りません。重要なのは、契約内容や特約を確かめることです。余分な費用負担を負わないようにご注意ください。