住宅にしても店舗にしても、戸建て住宅や自前の店舗を所有している人ばかりではありません。賃貸住宅に住んでいたり、賃貸テナントで商売をしている人が沢山います。こうした賃貸物件の場合、不動産の所有者は別に居るため、借りる際も退去する際も、不動産自体に関わる面倒な手続きはありませんが、気持良く物件が利用出来るように、不動産所有者またはそれを管理する管理会社と取り交わす契約というものがあります。物件によって細かな契約は各々ありますが、どの物件にも概ね共通なものに『原状回復』があります。退去時に「借りた当時と同等の状態にして物件を返却する」という約束事です。
賃貸住宅を例にとってみるとわかりやすいかもしれません。引越し前の部屋というのはリフォームがしてあって、部屋はがらんどう、壁紙にも汚れや破れがなく、ガラスや建具にも不具合いがないのが標準になっています。退去の際は、この状態にして返さなくてはならないというのが原状回復という契約です。実際に住み始めてみると、家具や寝具を置いたり、書棚や家電を置いたりなど、生活に必要なあらゆるものを部屋に入れ込みますので、そこでの生活が長くなればなるほど、床や壁を傷付けてしまったりなど、入居時の状態からは劣化や綻びが出てしまうのは否めません。ですから、退去する人は次にその物件を利用する人がすぐ利用出来るように元の状態にしておきましょう、というのが原状回復の目的です。ただ、原状回復というのは故意に破損してしまったものを対象に修繕が要求されるものです。家具を置けばどうしても置いた跡が床に付きますが、それまで修繕する義務は課せられないのが一般的です。特に過失もない場合には、修繕費用として納めていた敷金はほぼ返却されるはずなのです。しかし中には敷金が返らないだけでなく、直す義務のないものまで原状回復費として請求されることもあり、トラブルになるケースも少なくないと言います。現状回復については、よく契約内容を確認するのが賢明です。その上で、自分の過失があれば、本サイト「原状回復110番」を利用して、必要な部分だけ自身で修繕するようにしましょう。