退去時のお部屋の原状回復については、入居者、大家にとってトラブルのもととなりがちな事項です。消費者センターや行政などにも、このトラブルについての相談が多く持ちかけられているそうです。平成23年に国土交通省から示されたガイドラインでは、一昔前の考え方から現代の考え方に合わせた指針に、多少変更がされています。その一つとしてたばこのヤニによるクロス等の変色は、通常の使用範囲として賃借人が原状回復の負担をするべきなのかどうかという事です。旧ガイドラインでは、喫煙することが通常の使用範囲内とされていたため、タバコのヤニ汚れは大家負担となることが多かったようです。しかし、喫煙者の減少や喫煙に関する社会情勢が変化してきたことから、通常の使用範囲での汚れとはみなされなくなりました。確かに、子供がいる家庭では特にタバコは部屋では禁止、ベランダで、という家がかなり多くなっているでしょうし、職場でも限定された場所でのみの喫煙となっている場合がほとんどです。こういった社会情勢の変化で、原状回復の考え方も変化していったという事です。喫煙者にとっては厳しい指針となったと言えるでしょう。原状回復を考える際には、この汚れが経年劣化や自然の摩耗によるものなのかという判断が難しい場合もありますので、入居時の契約内容や、こうしたガイドラインで確認してみましょう。