国が定めた原状回復のガイドラインによりますと、建物の損耗は「経年変化と呼ばれる、自然な劣化」「借り主の通常仕様によって生じる通常損耗」「借り主の故意や過失、善管注意義務違反によって生じた損耗」の三種類に分けられています。そして、借り主の負担となるのは三つ目のみとされています。これが、原状回復の負担の決め手となりますが、中には一見してどちらの負担になるのかわかりにくいものもあります具体的には、どのようなものがあるのでしょうか。
人によっては、壁に画鋲や釘などを刺した経験があるかもしれません。一見して、同じような小さな穴かもしれませんが、実際はどちらが負担すればよいのでしょうか。決め手になるのは、壁紙クロスの裏にある、下地ボードの張替えが必要になるか否かです。例えば、画鋲やピン程度の小さな穴なら張替えが必要になることは無く、その原状回復は貸主の負担になります。しかし、釘やネジなどを刺しますと、その負担は借り主に移る事が多いようです。
他には、タバコのヤニによる汚れもあります。これは、簡単なお掃除で除去できる程度なら貸主の負担になります。しかし、もしも借り主がヘビースモーカーだったりしますと、簡単には除去できないことになります。そうなれば、その負担は借り主に移ります。また、タバコ以外では油汚れなども同じ考えとされています。
一見して似たような汚れや傷も、その程度や原因によってはどちらの負担になるのかわかりません。少しでも原状回復費用を抑えるためには、そのお部屋のお手入れをこまめに行う事が重要です。そうすることで費用負担を抑えるだけでなく、清々しい気持ちで過ごすことができるようになるのです。