アパートを退去するときに修繕費を請求されて、ピンときていない人もいるのではないでしょうか。アパートの修繕とは、部屋の状態やアパート自体の状態を元に回復させることです。アパートの修繕にかかる費用は、借主負担と貸主負担の2つのケースがあります。そのため、アパートの経営をしている人も修繕について詳しく知っておかなければ、トラブルになってしまいます。
アパートの修繕にかかる費用は、状況や契約内容によって負担者が変わってくるでしょう。アパートの修繕費にまつわるトラブルも多く発生しているので、事前に知識をつけておくと安心かもしれません。
この記事では、貸主・借主両方の視点でお話していきます。アパート修繕費の相場はもちろん、トラブルをなくすために知っておいた方がいいことなどを紹介していきます。アパートの修繕について知識を深め、トラブルにならないように注意しましょう。
アパート修繕費とはどんなもの?
アパートの修繕費とは、アパートのさまざまな箇所を改善するためにかかる費用のことです。アパートなどの賃貸住宅には原状回復をおこなう義務があります。入居者が退去するときには、入居時の状況に戻す必要があるのです。その際に発生する費用を修繕費といいます。下記にて、アパートの修繕費にかかわるものなどを詳しく解説していきます。
アパート修繕の2種類
アパート修繕には、大規模修繕と入退去時の修繕2つの種類があります。それぞれ費用の負担者や工事内容が異なります。
∇大規模修繕
大規模修繕はアパートを経営しているものの負担でおこなうものです。文字のとおり、アパートのあらゆる場所を大規模に修繕します。
☑屋根や屋根裏の防水工事
☑ベランダの防水工事
☑外壁改修
☑給水ポンプ交換
☑鉄製部品の防錆工事
主にこのような工事をおこないます。10年から15年に1度の頻度で必要とされており、定期的にやっておかないと劣化が進んでしまうでしょう。資産価値を下げないためにも大切な工事です。大規模修繕は多額になるので、経営者は普段から修繕費用を積み立てておく必要があります。住民が安心して暮らすためにもきちんとおこないましょう。
∇入退去時の修繕
アパートは賃貸住宅なので、入居者の入れ替わりがあります。そのため、入退去のときにはきれいな状態にするために修繕が必要です。新しい入居者を迎えるにあたって部屋のクリーニングをおこないますが、修繕が必要な場所がある場合は修繕もおこなうことになるでしょう。
☑障子や襖、網戸の張り替え
☑鍵
☑水回り
☑フローリング
主に入居者が使用していた場所の不具合を修繕します。入退去時の修繕は、貸主負担になるケースと借主負担になるケースがあり、状況によって異なります。負担者の決まり方についてもこの記事の下記で詳しく説明しているので参考にしてみてください。
主な修繕箇所
アパート修繕をおこなう必要のある修繕箇所を紹介します。
∇屋根や屋根上の防水工事
∇ベランダの防水工事
∇給湯器やエアコンの交換
∇クロスの張り替え
∇障子や襖、網戸の張り替え
∇鍵
∇水回り
∇フローリング
劣化しているなど次の入居者を迎えるにあたってよくない状態の場合は、修繕する必要があります。
アパート修繕費で発生する費用の相場
アパートの修繕費にかかる費用は、修繕箇所によって変動します。また、貸主と借主によって負担箇所も異なるので、費用も変わってきます。
借主
借主が修繕費を払うのは、主にアパートを退去するときです。退去するときは、敷金が戻ってきます。そのため、借主が修繕費を払う場合は、敷金として預けているお金から自動的に差し引かれます。敷金から繕費が引かれた残りの金額は戻ってくるという仕組みになっているのです。
「敷金-修繕費=戻ってくる敷金」
修繕費は自動的に敷金からひかれるので、手持ちで支払わなくてもいいケースがほとんどです。しかし、修繕費が敷金を上回る場合は、足りない分を支払うことになるので注意しましょう。
貸主
貸主は部屋の修繕費だけでなく、アパート自体の修繕費(大規模修繕)も必要になります。施工場所によって費用は異なりますが、アパート自体の修繕をおこなう場合の費用は、大規模な工事内容が多いので費用も高くなるでしょう。
修繕が必要になる場合にどれぐらいの費用がかかるのかを事前に知っておくことで、大規模修繕費用として貯めておくと安心です。特に、足場を組んで行う作業は高額な費用がかかります。そのため、一度足場を組むのであれば、同時に修繕を行うなどして費用をなるべく抑える対策も重要となるでしょう。
アパート修繕費はだれが支払うべき?
貸主か借主どちらが費用を負担するかということで問題になりやすいです。アパートの修繕費は、状況や修繕箇所によって負担者が変わります。状況ごとに負担者がどちらになるかをわかりやすくまとめていきます。
∇借主負担
・たばこの黒ずみ
・子供やペットがつけた汚れ
・壁の落書きや穴
・水回りの劣化
入居者の取り扱い方が悪かったなど不注意でついてしまった大きな傷や汚れは、入居者が負担する必要があります。飲食物によってついてしまった汚れも借主の負担です。
∇貸主負担
・家電製品裏の壁の黒ずみ
・日光によるフローリングの痛み
・画びょうの穴
生活をするうえで仕方のない瑕疵は、貸主が負担することになるでしょう。家電製品を設置したせいでついた汚れは、自然現象です。入居者がわざとつけたものではないので、貸主負担になります。
アパート修繕費にまつわるトラブルをなくす方法
アパートの修繕には費用が発生するので、トラブルになりやすいです。借主・貸主それぞれどのようなことに注意するべきなのかを紹介していきます。お互いが気を付けることで、トラブルを減らすことができるのではないでしょうか。
借主
借主は、入居するときに契約内容をきちんと確認しておくことが大切です。修繕費の対応についての詳しい情報は、契約書や重要事項説明書に記載されています。契約書に記載されていない内容の支払いには応じる必要はありません。よくわからない支払いを請求されたら、契約書をもとに話し合うといいでしょう。
また、契約書を読んでもはっきりしない場合は、国土交通省が発行している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を参考にするといいかもしれません。自分が負担する必要のない場合もあるので、損をしないように注意しましょう。
貸主
貸主は、契約書に「入居者の不注意でつけられた傷や汚れは、入居者に修繕費の支払い義務がある」など明確に記載しましょう。また、契約時に直接話しておくことも大切です。
きちんと伝わっていないとトラブルになってしまいます。相手が理解しているか様子を見て契約を進めましょう。あまりにもスムーズに契約してしまうと、貸主側も公開してしまうかもしれません。
まとめ
この記事では、アパートの修繕について解説しました。基本的には入退去時に修繕をおこないます。修繕にかかる費用は、修繕箇所によって変わってくるでしょう。また、修繕費は借主が負担するケースと貸主が負担するケースがあります。どのような原因でついた傷や汚れなのかによって負担者が変わってくるでしょう。
入居者の不注意によってついた傷や汚れは入居者の負担です。入居者が注意していてもどうにもならないようなものは、貸主側の負担になります。負担者を明確にするためには、入居するときの契約内容も大切になってきます。
修繕の費用については、契約書に記載されているので確認しましょう。また、貸主側は契約時に契約内容が伝わるようにきちんと話し合いをしてください。お互い理解し合うことで、トラブルをなくすことができます。