「今住んでいるマンションはせっかく庭があるから自分好みにしたいけれど、自由に造り変えてもいいのかな?」
「もしも好きにリフォームしてもいいのなら、どうやってリフォームすればいいのかな?」
現在マンションの1階にお住まいで、専用の庭も利用しているという方の中には、このようなお悩みを持ちながら毎日を過ごされている方もいらっしゃるかと思います。
そこで、今回は「マンションの専用庭のリフォーム」について解説してみました。
この記事を読んで、あなたが暮らすマンションのお庭が素敵なものになれば幸いです。
マンション専用庭の基本情報!
そもそもマンションの専用庭がどんなものか、あまり知らないという人も多いかと思います。専用庭のリフォームという本題へ入っていく前に、まずは基本の基本から触れていきます。
マンションの専用庭とは?
マンションの専用庭とは、マンションの地盤面(傾斜地に建てられているようなものを除き、ほとんどが1階)にあたる階の住戸前に設けられている庭のことを指します。
道を歩いているときに、「マンションの1階の部屋だけ立派な庭が付いているな」と疑問に思ったことのある方も、もしかしたらいらっしゃるかと思います。専用庭とはまさしくその庭のことです。
マンション専用庭のメリット
専用庭のよい点は、ルーフバルコニーと同様に広々とした空間の中、思い思いの時間を過ごしてリラックスできるという点にあります。ですが、ルーフバルコニーと違って、専用庭では土に直接触れることができます。ここが専用庭特有のメリットといえるでしょう。
専用庭にはあらかじめ芝生が植えられている場合が多いですが、これはホームセンターなどで販売されている人工芝と比較するとやはり心地よいものです。
また、専用庭は下階の住戸の屋根を使用しているルーフバルコニーとは違って音が伝わりやすいといったこともありませんから、騒音についての心配事も少なく済みますよね。
例えばお子さんがいらっしゃる場合、わざわざ近くの公園まで遊びに連れて行かなくても、簡単なボール遊びやビニールプールなどを使ってのちょっとした水遊びをすることができます。
さらに、お住まいのマンションの管理会社にお問い合わせをしてみて、了承を得ることができればお好きな植物を育てることも可能です。
加えて専用庭付きの1階住戸の場合、マンションの優先駐車場が付いてくることもあります。1戸建てのように自宅の庭先に車を停められるので、日常的に車を利用される方であればとても便利ですよね。
マンション専用庭のデメリット
最近はずいぶんと改善されましたが、専用庭が付いている場合が多い1階の住戸は、地面からの湿気や底冷えがひどい、道路からの視線が気になる、泥棒に遭いやすいといったデメリットもあります。
これらのデメリットに関しては、マンションを施工する際に対策が練ってあります。例えば湿気や底冷えに関しては地下ピットのような空間を設け、地面と部屋との間に距離を作ることで予防しています。
また、道路からの視線や泥棒を避けるために生け垣を設け、これらを可能な限り遮断するといった対策が施されているマンションも多くなりました。ですが、上記で挙げた1階だからこその悩みがあるというだけでなく、専用庭があるからこそのデメリットというものもあります。
まず、専用庭には住人だけの専用使用権が与えられているので、その住戸の所有者だけが利用できるものです。しかし、そのぶん月額の使用料が発生してしまいます。この金額は大体1,000円前後という場合が多いため、とくに気にならないという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、最大のデメリットと言っても過言ではない問題が別にあります。それは、上から物が落ちてくる危険性です。大半の専用庭には上部を覆うものがありません。なので、偶然にしろ、故意にしろ、上階から物が落下してくるかもしれないという危険性については、常に頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
専用庭のリフォームと原状回復の最重要ポイント!
「専用庭を自分好みに変えたい!」と思っても、好き放題に庭を造り変えていいわけではありません。リフォームには守るべきルールがあります。
そもそも、マンションの専用庭のリフォームとは何か
「せっかく自由に使うことができる庭があるのだから、できることならそのマンションで暮らし始めたとき当初の状態でなく、自分の生活に合った自分の好きな造りにしたい」と考えたことがある方も多いのではないでしょうか。
例えばレンガを積んで花壇を作ってみたり、板石で通り道を作って西洋風にしてみたり、自分好みの植物を植えたり……と、専用庭を好みや趣味に合わせた造りに変身させることを、専用庭のリフォームと言います。
ですが、専用庭のリフォームには注意しなければならない点もあります。
専用庭をリフォームする際の注意点は?
まず理解しておかなければならないところは、マンションの専用庭の多くはそのマンションの「共有部分」であるという点です。詳しく言うと、「共有部分ではあるが独占的に使用することができる」というのが、専用庭の位置づけになります。
たしかに住人は専用庭をもっているだけで月額利用料を支払わなければなりませんから、自宅の一部だと考えることもできます。このため、専用庭は部屋に住んでいる住人だけの専有部分だと考えている方も多いかと思いますが、実は違うのです。
大切なのは、マンションの共有部分で自分勝手なことはできないという点です。
専有部分とは自分が専有的に使える部分を指しているので、もちろん住戸の中がこれに当てはまります。専有部分は自分の家、自分の部屋なので、もちろん常識の範囲内で好きに扱ってかまいません。しかし、共有部分だとそうはいかないのです。
廊下やエントランス、エレベーターなどの共有部分に私物を置いてはいけないように、共有部分は住人が自由に扱ってはいけないのです。
マンションの専用庭は、「共有部分ではあるが独占的に使用することができる」という複雑な位置づけです。普段は個人のスペースとして扱えばいいのですが、共有部分だからこそ注意しなければならない点がいくつかあります。
例えば火災がなどの非常事態時に、専用庭が避難経路としての役割を持つ場合があります。そのため、避難の妨げとなるような代物を置いてはいけないという規則があるのです。
マンションによっては、緊急時に避難者の障害となってしまいそうなことが想定される場合には、リフォームに取り組めない場合があります。
例えばガーデニングのために大きな木を植えたり、滑り台などの遊具を設置したり、庭全体を畑にしてしまうといった行為がこれに該当します。
また、たとえ自分好みではなくても、専用庭に元々植えてある樹木を勝手に抜くこともできません。それらの樹木が管理組合の所有物だからです。
別の種類の草木に植え替えることもできません。さらに、元からある芝生の手入れは、住人が日常的にしなければいけません。
もちろん、近所迷惑になるような行為も控えましょう。例えばバーベキューや花火などの火を扱う行為は、マンションによっては事前に許可をとれば可能なところもありますが、防災の観点から禁止されているところがほとんどです。
騒音や煙・ニオイといった、他の部屋の住人やマンションの近所で暮らしている人たちの迷惑になるようなものが発生する行為は、基本的には認められていません。
なので、災害時に人命救助の障害となってしまうような造りや、命に関わるとまではいかなくても誰かの迷惑になってしまうことが想定できるような造りには、リフォームできないと考えておいた方がいいでしょう。
きちんと相談をしましょう
「リフォームをしたいけれど、実際にしてもいいのかどうかわからない。ガーデニングはしてもいいの?」
「どれくらいのサイズなら植木鉢を置いてもいいの?植木鉢を置けるとしたら、何個までなら置いてもいいの?」
「元からある植物とは別に、新しく草木を植えてもいいの?」
こういった疑問を抱えてしまった場合は自分たちだけで悩むのではなく、ハッキリとした解答をしてくれる存在に躊躇うことなく相談してみましょう。相談する相手に選ぶのは、もちろんお住まいのマンションの管理者(管理組合)です。
管理者の連絡先は、たいてい契約書やエントランスのどこかに記してあります。連絡先がわかったら、「専用庭のリフォームをしたいのですが、こういったことはしてもいいでしょうか」と尋ねてみてください。
マンションの専用庭のリフォームは、必ず管理者の了承を得てから、許可を得た範囲内のみでおこなうようにしましょう。
退去時だけじゃない! メンテナンスが重要です
マンションの専用庭は、退去する際には借りたときのような状態に戻していかなければなりません。専用庭の状態は、住人が普段から注意して見ておくことが必要です。誰かの迷惑になってしまうことがないように、自分でこまめにメンテナンスをしなければなりません。
例えば、自分のお庭で植物を育てているのなら、その枝葉が隣の住戸に迷惑をかけないようにしなければなりません。
ほふく型の植物など、生長していくことで隣の敷地へと侵入しやすい種類を育てる場合はとくに注意が必要です。もしも育てるなら、隣の敷地へ入ってしまう前に、伸びた茎や葉をしっかり手入れすることが重要になります。
マンションの専用庭をリフォームする際は、退去時に原状回復(借りた当初の状態に戻すこと)がしやすいかどうかだけでなく、日頃のメンテナンスもしやすいような造りを心がけたほうがいいでしょう。
マンション専用庭のリフォームのバリエーション
ここからは、専用庭をリフォームする例を紹介していきます。専用庭のリフォームをおこなう際に、少しでも参考にしていただければ幸いです。
専用庭の床をリフォーム!
【芝】
専用庭の場合だと、はじめから芝生が敷かれていることも多いです。
芝生であれば、例えば子供が元気いっぱいに遊んでいる最中に転んでしまったとしても、土や砂利とは違いそれほどひどいケガを負わずに済みます。
ただ、定期的に芝刈りをおこなったり、肥料を与えたりしなければならないので、そういったことに不慣れな方にとっては少し大変かもしれません。
【砂利】
砂利を撒くことによって、すでに植えてある草木などを移動することなく、庭の雰囲気を変えることができます。多くの種類は茶や黒といった系統の色になるため、これまでの庭が少し飽きてしまったという場合には、別の印象に変えて楽しむこともできるでしょう。
さらに、砂利を撒くことで雑草が生い茂ってしまうことを避けることもできます。自分好みにリフォームした専用庭の見栄えの維持にも効果的なのは間違いありません。また、砂利は人が踏めば音が鳴るものです。犯罪者はこの音を嫌うため、防犯対策にもなります。
しかし、砂利を敷くことはいいこと尽くしというわけでもありません。例えば、砂利を敷いてから時間が経つと砂利と砂利の間に土が溜まってしまい、そこから雑草が生えてしまうこともあります。対策として、砂利を撒く前に防草シートを敷くことをおすすめします。
また、撒いた場所によっては砂利に苔が生えてしまう恐れもあります。それから、ほかに植栽がある場合などは、落ち葉を掃いて掃除することが少し難しくなるかもしれません。
雪かきをする際にも、せっかく撒いた砂利ごと雪を除去するわけにはいきませんから、いつも以上に手間がかかってしまうことになります。掃き掃除や雪かきなどが必要だと想定される場所については、砂利を撒くのを避けたほうがいいでしょう。
【敷石】
ただ芝生や砂利が広がっているよりも、そこに敷石を配置することで、雰囲気を変えるだけでなく、専用庭の中を大まかに区分けすることができます。
さらに敷石を通り道として並べることで、庭の行き来を楽にすることも可能です。
植物の整理で見栄えのいい庭に!
芝生のまま活用したり、砂利を撒いてみたり、敷石を配置してみたり……と、床を好みに合わせて造り変えたら、次は好みに合った草花を植えてみるとよいでしょう。たちまちキレイな庭にリフォームすることができますよ。
草木は何も手を付けないと「これが大自然の力だ」と見せつけるかのように、自由奔放にぐんぐんと枝を伸ばして葉を茂らせてしまいます。それをそのままにしておいては、せっかくの庭も美しいとは言えません。
元からある植木の場合は管理組合に確認をとってからになりますが、まずは好き放題に伸びてしまった枝葉の手入れや、雑草の除去から取り掛かりましょう。そうすることで空間がスッキリし、どこにどんな草花を植えたらいいのかといったリフォームの構想が練りやすくなるはずです。
庭の手入れが済んだら、さっそく好きな草花で庭を彩っていきましょう。
レンガを積んで花壇を設けてみたり、植栽スペースごとに植える草花を変えてみることで、庭は一気に美しく生まれ変わるはずです。
原状回復と高相性? 取り外し可能なウッドデッキ
ウッドデッキについてはマンションの利用規約に「不可」と書いてあったり、管理組合から断られた場合はもちろん設置してはいけません。ですが、可能であればウッドデッキを置いてみるのもおすすめです。
ウッドデッキを置くことで庭が縁側のような見た目になり、床の造りを変えたり好みの草花を植える以上に専用庭の雰囲気を変えることができます。
中には、取り外し可能なウッドデッキもあるので、こちらを選択することで原状回復もふまえて使いやすいでしょう。
専用庭のリフォームは、将来的な原状回復を見据えておこないましょう。
マンションの専用庭は、多くの場合、マンションの共有部分に当てはまります。そのため、マンションの専用庭は退去する際に借りたときのように戻すことが基本です。
リフォームできるとなればいろいろと構想は膨らんでしまうでしょうが、どんなことをするにしても、必ず原状回復を見据えて行ってください。
原状回復がしにくくなるようなリフォームは避けたほうが無難です。
まとめ
「せっかくならマンションの庭を自分好みに造り変えてみたい」という感情は、恐らく自宅に専用庭をもつ多くの方が抱くものでしょう。毎日目に入るものだからこそ、目に美しく、楽しいほうがいいに決まっています。
この機会に、快適に過ごせる専用庭を造ってみてはいかがでしょうか?
「リフォームのために、管理組合などから了承も得られた。でも、いざやり始めてみるとなかなか理想通りに造れないし、力仕事も多くてとにかく大変……」
「原状回復しやすいようにって言うけれど、加減がよくわからない……」
こうした悩みがあれば、一度選任の業者に相談してみることをおすすめします。
プロの手で理想通りの専用庭にリフォームしてくれるはずですよ!