日本では襖のあるご家庭が多いのではないでしょうか。日本で古くから使われている襖は、動く部屋の間仕切りとして、軽くて取り外しもできるので部屋のスペースを自由に調節できます。
また、保温機能や調湿機能、室内の有害物質を吸収する機能 もあり、湿気が多く季節によって寒暖差がある日本に最適な建具です。
そんなすばらしい機能を持つ襖をきれいに保つ方法をご存知ですか?襖の汚れの主な原因はホコリ、手垢、カビなど です。日々のお手入れから、汚れたときの対処法、張り替えなどについてご紹介していきます。
大きく汚れる前に小まめな掃除をしよう
襖を長持ちさせるには、小まめなお手入れが大切です。襖の多くは紙と木でできているため、お手入れせずに放っておくとカビが生えてしまうことがあります。
また紙は水気に弱いので、水拭きすることができません。水拭き厳禁となると、どのようなお手入れ方法があるのでしょうか?
襖は湿気に弱く、湿気の影響でカビが生えたり、反りが生じたりしてしまいます。そのため、湿気を防ぐために1日1度は換気が必要です。最近の住宅は空気の流れが悪く、湿気を溜めこみやすい構造になっている場合が多いのでより効果的かもしれません。
ただ、乾燥させすぎても傷みや変色の原因となるので注意してください。
襖についた汚れは、羽根ばたきや柔らかいブラシなどで上から下に優しく落としましょう。ゴシゴシしすぎると表面の毛羽立ちの原因になります。手垢や小さな汚れがついていた場合は、白くて柔らかい消しゴムで優しくこすってみてください。少しの汚れならきれいに落とせます。
引き手は汚れやすい
引き手とは、襖を開け閉めする際に手をかけるために取りつけられている器具のことです。引き手があれば襖を直接持つ必要がないので、襖を汚さず開け閉めすることができます。
しかし、かわりに引き手には直に手が触れることになり、引き手周辺の襖の部分も手垢がつきやすくなるため、最も汚れやすい部分といえます。
引き手自体は自然素材のものでなければ、水拭きしても大丈夫です。頑固な汚れは襖にかからないようにすれば、洗剤を使って落としてもかまいません。その場合はしっかり乾拭きしてください。
引き手の手垢汚れにも消しゴムが有効です。消しゴムで優しくこすり、手垢を絡め取りましょう。引き手周辺の襖が激しく汚れてしまっている場合は引き手を外して、襖に合った図柄の襖紙を汚れがひどいところに貼る方法も効果的です。
小さい汚れには補修紙が便利
小さい汚れですと、襖用の補修の紙を上から張り付けて隠してしまう方法がいいかもしれません。今はシールタイプやアイロンで貼るタイプの補修紙 も販売されています。
桜の形をしたものなど、デザインや色も様々でお洒落なものがありますので、ちょっとだけ補修したい方にはおすすめです。小さな穴でも放っておくとそこから広がっていく場合がありますので、早めに対処することが肝心です。
襖の動きはスムーズか確認
襖の動きがスムーズにいかないときは、桟の部分にホコリなどの汚れが溜まっている場合があります。襖の桟に入り込んだ汚れは掃除機などで吸い取りましょう。
こまかい汚れは竹串や爪楊枝などで取ってみてください。それでも取り切れない頑固な汚れの場合は、襖と桟のあいだに輪ゴムを通し、何度か開け閉めしてみてください。こまかい汚れを輪ゴムが絡め取ってくれます。
汚れた襖の手入れ方法
紙製の襖に手垢汚れがついた場合は、まず消しゴムを使って落としてみましょう。柔らかくて白い消しゴムを用意してください。
色のついた消しゴムではきれいに消せず、消しゴムの色が移ってしまう可能性もあります。強くこすりすぎると穴が空いたり、表面が毛羽立ったりしてしまうので優しくこすって消してください。
カビやシミが付着してしまった場合にも、まずは消しゴムを使ってみましょう。それでも消えない場合は補修紙を活用してみてください。小さなシミであればきれいに隠すことができます。ただ、シミの原因がカビであった場合は、補修シートを貼っても再度カビが発生する可能性が高いです。
ビニール製の襖の場合は、耐水性があり、洗剤が使用できるものが多いので水拭きできます。カビを除菌するには消毒用のエタノールを使用すると、カビを死滅 させることができます。この方法でもきれいにならなかった場合は、張り替えを検討してみるのもいいかもしれません。
襖紙の張り替えるタイミング
襖紙にシミがたくさんあって目立つ、全体が日に焼けて茶色っぽくなっている、襖紙が浮いている(または剥がれてしまった)ということはありませんか?また、建付けが悪くうまく開閉できない場合も、張り替えのタイミングかもしれません。
また生活環境によって異なりますが、張り替えしてから大体10年前後が張り替えの目安 となります。人生のひとつの区切りでもある、成人式、婚約、結婚、葬式法事などの冠婚葬祭のタイミングで張り替えをおこなうのもいいかもしれません。
襖紙の張り替え方法
ここでは、アイロンで簡単に貼りつけられる襖紙への張り替えの方法をご紹介します。用意するものは、襖紙、カッター、茶ちり紙、障子のり、マスキングテープ、ハケ、引き手用の釘抜きなどです。
1.全体を軽く拭き、汚れを落とす。
2.襖が破れている場合は、表面に飛び出している部分をカットし、凹凸をなくす。凹凸がなくなったら、茶ちり紙をカットし、破れた部分にハケを使い障子のりで貼りつける。
3.襖の枠が汚れないようにマスキングテープで養生する。
4.引き手を外す。上下に釘が刺さっているので、この釘を釘抜きで引き抜く。
5.襖紙を貼る。柄の位置や高さを合わせて上下左右が1㎝ほど余るくらいで襖紙をカットする。枠の内側に沿って印か折り目を付ける。アイロンで接着するものは、中心からアイロンをかけていく。内側から外側に空気をにがすように繰り返しかける。
6.余分な襖紙を枠の内側に沿ってカッターで切る。仕上げにアイロンをかけ、引き戸をはめ込む。最後にマスキングテープを剥がしたら完成。
従来の襖紙 やシールタイプの襖紙など、色々な種類がありますので、ご自身に合ったものを選んでみてください。新しく貼った襖には、防水スプレーを吹きかけておきましょう。汚れが付着するのを防ぐ効果があります。
引き手の交換方法
襖全体を変えなくても、引き手を変えるだけでイメージは変わります。用意するものは、新しい引き手、マイナスドライバー、釘抜きです。
1.襖紙と引き手のあいだにマイナスドライバーを差し込み、テコの原理で持ち上げる。
2.ある程度引き手が浮いたら、引き手の釘穴から釘を引き抜く。
3.引き手が取り外せたら、新しい引き手をはめ込み、釘を打ち込めば完成。
襖の手入れをしないとどうなるの?
襖は手入れしないと劣化が早まります。襖に付着したホコリを放置するとシミの原因になるでしょう。小さな穴でも放っておくと、ふたたび不用意に引っかけたりして穴がどんどん大きくなってしまうかもいれません。
また、襖のシミは汚れの原因がはっきりしない場合、カビである可能性があります。カビが汚染したところでは多量の胞子が飛散して、それを長期間吸い続けると、喘息など健康に影響を及ぼすことも考えられます。
汚れて見た目がきたなくなるだけではないので、日頃からのお手入れはとても重要です。
襖の張り替えは業者に依頼できる
DIYがお好きな人にとっては、襖の張り替えは楽しい作業になるかもしれません。しかし、襖のたくさんある家にお住まいの方やお年寄りの方には、自分での張り替え作業は難しいでしょう。
せっかくだからきれいに貼り替えたいけれど、慣れない作業で失敗するのが嫌だという方などは、業者に相談されてみてはいかがでしょうか。短時間できれいに作業してくれるので安心ですよ。
まとめ
襖の劣化を防ぐには、日頃からしっかりお手入れすることが重要です。穴が空いてそのままにしている方などは、手軽に補修できますのでぜひ今からでも作業してみてください。
また、これを機会にご自宅の襖を観察してみましょう。日々見慣れている家の襖も、じつは茶色くくすんでいるかもしれません。襖がきれいになると、お部屋の雰囲気も気分も晴れやかになるのではないでしょうか。張り替えやお手入れをして、気分良く過ごせるといいですね。