賃貸でリメイクシートや板壁などでdiyを試みる方も多いですが、退去時の原状回復がうまくいかなかった場合、補修費用を支払わなければなりません。ただし、状態によっては自分で掃除したり、修復したりなど賃貸のdiyの原状回復に失敗しても直せる範囲のものもあります。
このコラムでは、原状回復に失敗しても自分で対処できる方法をご紹介します。状況別の修復方法と、原状回復の定義の解説や退去時にかかる費用など、賃貸でdiyをするときの不安を解消できるようになっていますので、参考にしてくださいね。最後に、原状回復しやすいdiyのやり方もまとめましたので、今後ご活用ください。
目次
【賃貸でdiy】原状回復に失敗しても修復することはできる?
賃貸でdiyの原状回復できなかったときに、自分で修復する方法をご紹介します。よくある3つの状況別に処置の方法がありますので試してみてくださいね。
1.壁紙が剥がれてしまった
軽い剥がれであれば応急処置をすることが可能です。めくれてしまった壁紙の裏側に接着剤を塗り、壁に当ててからローラーで空気を抜いて貼りつけましょう。ローラーがないときには、タオルでこすって空気を抜きましょう。
壁紙の裏側にホコリやゴミなどがあると、壁紙がボコボコになってしまいますので、よく汚れを落としてから貼りつけましょう。貼りつけたあとは、完全に接着するまでマスキングテープなどで仮止めしておくと、剥がれる心配がありません。
また、壁紙が剥がれて反り返っているときには、ドライヤーで温めることでめくれグセがとれていきます。もし強いめくれグセであった場合には、アイロンを低温にして、ハンカチや紙を間に挟んで温めてください。
2.テープの跡が残ってしまった
よくあるトラブルとして、リメイクシートやリメイクシートの下地としてマスキングテープを貼った跡が残ってしまうことがあります。
このような場合、ベタベタとした場所が小さければ消しゴムでこすることでベタベタがなくなることがあります。ただし、ベタベタしている場所が壁紙や化粧シートである場合には、強く擦ると壁紙が剥がれてしまうかもしれません。元の材質を確認してから使用してください。
広範囲でベタベタしている場合には、水と重曹を合わせたものを霧吹きでかけましょう。1リットルの水に対し、重曹を大さじ2~3杯入れます。霧吹きで濡らして10分ほど放置してから、水で塗らしたキレイな雑巾でふき取るとベタベタが落ちますよ。
3.壁に画びょうの穴が開いた
画びょうの穴であれば、通常の生活で使用するものであるため原状回復を求められることはありません。しかし、集中して一か所に穴が沢山開いている場合や、クギを打ったような大きい穴である場合には原状回復を求められることがあります。また、画びょうの使用が禁止されている契約である場合にも、回復を求められることがあります。
画びょうの穴を応急処置で直すには、身近なものだと修正テープやティッシュが有効です。穴の開いたところに修正テープを貼り、周りを削っていくだけで穴が目立ちにくくなります。ティッシュを利用する際には、穴に小さくちぎったティッシュをつまようじで押し込むことで画びょうの穴が目立ちにくくなります。
もし、本格的に穴をなくしたいのであれば、壁の補修用パテがおすすめです。壁の色に合わせて絵の具などをパテに混ぜて、つまようじで穴を埋めます。そうすると目立ちにくくなりますよ。壁の補修用パテはホームセンターや百円ショップなどで取り扱っています。
賃貸の原状回復はどこまでする必要がある?
賃貸の原状回復とは、借りた当初の元の状態に戻すということではありません。diyでできた汚れをキレイにできなかった場合にはどこまで負担するのか、原状回復の定義を解説します。
原状回復とは
原状回復とは、居住者の故意や過失によってできてしまった傷や汚れなどを元に戻すというものです。入居時に支払う「敷金」は主にこの原状回復費用に使われます。もし、原状回復が必要なかったときには、敷金はそのまま返ってきます。
「大家」が費用を負担するケース
故意や過失は居住者の負担となりますが、劣化が原因であると考えられることは大家の負担です。故意や過失でない「劣化」が原因の場合には、居住者が原状回復をする必要はありません。たとえば、日焼けによるフローリングの色褪せや、冷蔵庫を置いていた床のへこみなど、通常の使用でついてしまった傷などは原状回復する必要はないのです。
テレビの後ろの壁紙が電気ヤケして黒くなったことなどは通常の使用によってだれもが起こすことです。このような汚れの原状回復費用は家賃に含まれているとされ、原状回復として入居者が支払うことはありません。
また、カレンダーやポスターを壁に貼ることは通常の生活でおこなわれる範疇とされるため、画びょうやピンの利用は通常の損耗といえます。あまりに多くの穴が開いているという場合ではなければ、大家の負担です。
「入居者」が費用を負担するケース
入居者が費用を負担することになるのは、故意や過失によってつけられたものです。たとえば、こどもが壁に落書きをしたり、ペットが柱で爪とぎをしたりしてついた傷や汚れは、入居者が原状回復費用を負担します。また、このような傷でなくとも、diyとしてアレンジしたものを完全に元に戻すことができなければ、負担することになってしまいます。
画びょうやピンは通常の消耗とご紹介しましたが、ネジやクギは原状回復を求められることがあるためご注意ください。また、傷をつけた場合だけでなく、ガスコンロや換気扇の掃除をおこなわなかった場合や、浴室の掃除をせずカビだらけにしてしまったときも、原状回復費用は入居者の負担となります。
賃貸の退去時にかかる原状回復の費用相場
原状回復が必要と判断された場合には、その度合いや広さ、場所によって費用がかかります。原状回復としてよくある壁紙・フローリング・柱などの費用相場をまとめました。
場所別の原状回復工事費用の相場
原状回復が必要となったときは、基本的に大家さんが業者に依頼します。よくある原状回復の場所の費用相場をまとめました。
〇壁紙
壁紙の総張り替え 1平方メートルあたり750~1500円
壁紙の傷や穴の補修 10,000~60,000円
〇フローリング
フローリングの張り替え 1畳あたり20,000~60,000円
フローリングの傷の補修 8,000~60,000円
〇柱
柱の交換 50,000~100,000円
柱の傷の補修 10,000~60,000円
また、家の中がたばこ臭い・ペット臭いなどでハウスクリーニングが必要となったときには、部屋の大きさによって15,000~70,000円ほどかかります。ほかには、ひどい汚れでカビ取りや油汚れの除去などのクリーニング代がかかるとなると20,000~50,000円ほどがかかることがあります。
原状回復の費用は敷金でまかなえる?
入居者の故意・過失とみなされたことに関しては原状回復の費用負担をしなければなりません。原状回復の費用は敷金から引かれることになります。敷金でまかなえる場合には、余った金額は戻ってきますが、敷金以上の費用がかかるとなる場合には、修理の費用を負担することになります。
「敷金」次第では退去費用を負担しなければいけない
退去時に原状回復の費用を敷金でまかなうと説明しましたが、最近増えている敷金ゼロという賃貸では、原状回復が必要となった場合には、修繕費用を全額負担しなければなりません。
そのため、敷金ゼロという賃貸に住んでいたときには、退去時にある程度の費用を用意しておかなければならないのです。敷金を支払っていれば、退去時に用意する費用は少なく済みます。
賃貸でも原状回復しやすいdiyのやり方
賃貸とはいえ、自分好みの部屋にアレンジしたいこともあるかと思います。賃貸でdiyしたいときに、原状回復しやすい方法をご紹介します。
リメイクシートの貼り方
リメイクシートを原状回復しやすいように貼る方法があります。
・貼る場所の材質
まず、原状回復しやすくするためには、傷がつきにくい丈夫な場所に貼ることです。キッチンの戸棚にリメイクシートを貼るのは人気がありますが、素材によってはリメイクシートは向きません。
しかし、化粧シートの貼ってある場所に重ねて貼ってしまうと、剥がすときに化粧シートも一緒に剥がれてしまうことがあるのです。下地としてマスキングテープを貼ってから、リメイクシートを貼るという方法もありますが、劣化してうまく剥がれなくなることがあるため、注意しましょう。
・貼る場所の条件
リメイクシートを貼った場所が、直射日光が当たったり、浴室や水回りなどの湿気が溜まりやすい場所である場合、シートが劣化してきれいに剥がれなくなることがあります。劣化が起きやすい場所に貼るのは避けましょう。また、長期間貼ったままというのも劣化して剥がれにくくなる原因となります。
リメイクシートをキレイに剥がす方法
リメイクシートを貼る場所も大切ですが、剥がし方も大切になります。剥がしたいリメイクシートののりを柔らかくするために、ドライヤーを当ててシートを温めます。シート全体が温まったら端から剥がしていきます。冷めてしまうようなら温めながら剥がしましょう。
もし、のりが残ってしまったときには、前述したように消しゴムで擦ったり、重曹水を使用して取り除きます。このベタベタも原状回復を求められるため、しっかり落としておきましょう。
ピンでとめられる家具を使う
最近は、ピンで壁に取り付けられる棚が出ています。ピンは大丈夫でも、クギの穴の原状回復は必要という賃貸の場合でも安心して設置することができます。ピン4つほどで設置でき、穴も小さいため補修が必要になった際もパテでふさぎやすいです。
穴を開けずに壁付の棚を作る
もっと本格的な棚を取り付けたいという場合には、自作で棚を作ることも可能です。支柱となる木材にばねのついたdiy用の器具を取り付けることで、木材を突っ張り棒のように床と天井に固定できるようになります。その支柱に棚を作ることで、壁や天井などを傷つけずに壁付の棚を作成することも可能です。
また、取り外す際も突っ張り棒と同じ要領で外すことができることから、周りを傷つけることはありません。diyになれている方なら手軽に作ることができます。セット売りなどもありますので、初心者の方も始めやすいです。
まとめ
最近はdiyが流行っており、百円均一などのでもリメイクシートが取り扱われていることから始める方も多くなってきました。しかし、賃貸でのdiyは原状回復の失敗をしてしまうと、回復費用がかかってしまうため、リスクが大きいです。diyをする際には、正しい知識を持っておこないましょう。
もし原状回復に失敗しても、自分で対処できる場合もあります。リメイクシートに熱を当てて剥がれやすくしたり、画びょうの穴を埋めたりすれば、原状回復の負担する費用も減ることになるでしょう。
diyは豊かな生活を送るためのひとつの手段です。必要な知識を身につけて、楽しみましょう。ただし、うまく原状回復できなかったときには、無理やり自分で修復を試みても、事態は悪化してしまうことがあります。そのときには、正直に申告することも大切です。