借りている物件を解約する際に悩みがちなのが、「原状回復」について。原状回復とは、物件を引き渡す際にきれいな状態に戻しておくことです。しかし、「どのくらいきれいにしておけばよいかわからない」といった悩みを持つ人も多いでしょう。
また、大家さんと借主との間で「原状回復」についての認識が異なると、トラブルが起きてしまうおそれもあります。特に原状回復のトラブルは飲食店についてのものが多いです。
そこで今回は、飲食店の原状回復をおこなうときの注意点や業者の選び方について詳しくご説明していきます。
飲食店の原状回復は賃貸とは違うって本当?
飲食店の原状回復は人が住む目的で借りる「居住用物件」とは異なる点が多く、気をつけなければなりません。飲食店の原状回復で注意すべき点について、以下で説明していきます。
原状回復する場合はほぼ借主負担
民法第598条で「借主は、借用物を原状に復して、これに付属させた物を収去することが出来る」とあります。そのため、物件を返すためには原状回復をしなくてはなりません。もちろんそのための費用はほぼ借主負担となります。
原状回復にかかる費用相場は居住用と比べて高額になりやすい
飲食店の原状回復の相場は、「居住用」の原状回復にかかる相場よりも高くなります。アパートやマンションといった、人が住むために借りる「居住用」の物件はあまり内装を大幅に変えることはしないですよね。
しかしながら、飲食店はより多くのお客さまに来店してもらうために借りた物件の内装を大きく変更することが多いと思います。飲食店は変更した場所が多いことから、費用も高額になりやすいのです。
原状回復は立ち退き日よりも前にする
原状回復は、特約がなければ原則として退去日までにしなければなりません。原状回復が遅れると、新しい人が物件を借りることができないおそれが出てきます。そのため、原状回復が遅れると追加で料金を請求されるというケースもありますので、余裕をもって原状回復をおこないましょう。
ガイドラインはあくまで「一般的な居住用賃貸」向け
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」のなかで、「生活しているうえで自然に発生した自然損耗は、原状回復の際、貸借人が費用を負担する必要はない」とあります。
しかしながら、このアウトラインは「一般的な居住用賃貸物件」のアウトラインなので、飲食店には当てはまらない場合が多いです。そのため、飲食店の原状回復については、契約書をよく確認しておく必要があります。
引き渡しでトラブルを起こさない!契約時と原状回復前に気をつけたいこと
引き渡しのときに多い原状回復のトラブル。原状回復のトラブルで大家さんと揉めてしまったという人も少なくないはずです。この章では、原状回復のトラブルを引き起こさないためのポイントを解説していきます。
借りるときに気をつけたいこと
原状回復のトラブルを防ぐためには、物件を契約するときにも注意が必要です。物件を契約する際に契約書の原状回復の欄を確認し、可能であれば大家さんに以下のような特約事項を入れてもらいましょう。
「甲(大家さん)が認めた場合はその限りではない」この特約事項を入れることによって、大家さんに原状回復の判断をゆだねることができます。つまり、大家さんが納得すれば、原状回復をしなくてもいい場合だってあるのです。
たとえば次の入居者のために内装をそのまま残しておく「居空き物件」の場合。大家さんが契約している物件を「居空き物件」として売り出したい場合は、原状回復を求められることはありません。このようなときのためにも、できる限り大家さんに特約事項を入れてもらうようにしましょう。
また、原状回復のトラブルのなかには、借りる前の状態とは違う原状回復を要求されたことがきっかけでトラブルになったというケースも多いです。あらかじめ、契約時に大家さんにどの状態に原状回復をすればいいのか確認しておきましょう。
原状回復するとき気をつけたいこと
原状回復をおこなう際には、大家さんが提携している業者があるかもしれないので事前に確認しておくようにしましょう。また、大家さんが提携している業者は、自分で業者を見つけて依頼するよりも高くつくケースがあります。その場合は値下げ交渉をしてもらってください。
また、原状回復は原則として立ち退き日までにおこなわなければなりません。余分に料金をとられないためにも、立ち退き日を確認してそれまでに原状回復を終わらせるようにしましょう。
最適な業者を選ぶために…確認しておきたい3つの条件
原状回復をおこなっている業者はとても多く存在します。そのなかでよりよい業者を選ぶためにはどうしたらいいのでしょうか?この章では、よりよい業者を選ぶために3つのポイントを解説していきます。
見積書の確認は「総額」だけではない
不当な料金を請求されないためにも、内訳までしっかりと確認しておいてください。表記があいまいな箇所についてはしっかりと確認しておくことをオススメします。料金トラブルを防ぐためにも、料金の内訳を明らかにしておきましょう。
「うわさ」をしっかりチェックする
よい業者を選ぶために、インターネットの口コミサイトなどで業者の評価を確認する方法もあります。口コミサイトでは、ホームページには載っていない「利用者の生の声」も知ることができます。
インターネットには多数の口コミサイトがあるので、複数のサイトを確認すると利用者の声をより多く知ることができるかもしれません。口コミサイトだけで依頼する業者を決めるのはオススメできませんが、判断材料の一つとして口コミサイトも利用するといいでしょう。
実績が豊富な業者を選ぶ
また、実績が豊富な業者を選ぶとよいでしょう。実績が豊富ということはスピードが早かったり、質が高いことにもつながります。原状回復は期日が決まっているので、期日に間に合わせるためには実績が豊富な業者に依頼するといいでしょう。
業者の実績はホームページに記載されている場合が多いので、一度確認してみてください。
まとめ
今回は飲食店の原状回復をおこなう際の注意点や業者の選び方についてご説明してきました。飲食店の原状回復は、居住用の原状回復とは異なる点がいくつもあり、特に気をつけなければなりません。そこで、以下のことを頭に入れておいてください。
・飲食店の原状回復は比較的費用が高くなりがち
・原状回復の費用はほぼ借主が負担
・原状回復は立ち退き日までには終わらせておく
・物件を契約するときに大家さんに「特約事項」を決めてもらう
・大家さんに原状回復の「範囲」を確認しておく
・最適な業者を選ぶためには「見積書の内訳まで確認する」「評判をチェックする」「実績が豊富な業者を選ぶ」ことが大切